日刊ハレ Ver2.11

2016年、更新再開です。好きな漫画、特撮、音楽の感想など、無名人の趣味と駄文の遊び場です。

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髙橋ツトム先生の特別読切『涙のタンタン麺』  

講談社『月刊アフタヌーン』2014年9月号に掲載されています。
勿論、即買いです。これは要保存ですね。

以前からの先生の読者、日記も愛読している読者の方なら、
もうこのタイトルだけでニヤリとしたはず。
あの作品も連想したことでしょう。

本編が素晴らしいのは勿論のこと、もう扉ページからして堪らないものがありました。



それでは、感想を。

以下は内容に触れた感想となります。
未読の方はご注意を。『月刊アフタヌーン』を購読しましょう。


上述の通り、まず扉ページからして堪りません。

この昭和感満載のタイトルロゴ! これよ、これ!
昭和のカップラーメン的なレトロ感が最高。

左右それぞれの一文、字体も素晴らしいですね。

カラー扉で、この絵柄だけでもタンタン麺を食べたくなります。
と言う訳で、再読して、実際にタンタン麺を食べに行って、
その上でこの感想を書いています。



扉ページもさることながら、そもそもの話としてタイトルが良いですね。
このタイトルを見聞きして、なんだそりゃと思う輩は何もわかってない訳で、
わからないのは良いとして、それで笑ってみせるのは自らの無知の露呈です。
無知なのは悪いことではありませんが、そういう人に限って謙虚さが足りないなと。

読者なら、このタイトルを見聞きした瞬間に飛び上がって反応しちゃいますよね。

閑話休題。

以前に『ジャンプ改』の『親父衆』にゲスト参加された読切があり、
本作はその完全版となる作品です。

(■『ジャンプ改』1月号の『親父衆』第28会に、髙橋ツトム先生がご参加!

と言う訳で、正にタイトル通りです。

絶滅寸前の昭和感溢れる中華料理屋さん。
ギョーザにビール。
コックピットみたいな狭い席。

そこで飲み食いするのが親父ではなく、女の子というのがなるほどなあと。

先生の実話ベースでありながら、ここは『親父衆』と大きく異なるところですね。
当たり前ですが、それゆえに以前の読切を知らない人でも全く問題なく読めます。

冒頭の場面だけでも、味なポイントだらけで、思わずニヤリとしてしまいました。

お店のお母さんのサービス、口調、彼女とのやり取り。

そして、メニューには麺類が一つもない。

クセのあるお店ですね。こういう通な感じ、好きだわあ。

更に極めつけが。



この店の厨房は木で覆われているということ。

これこそ先生の実体験でも、『親父衆』でも重要なところでした。

無論、本作においても。



ここで「デルモちゃん」って呼ばれたので、「モデル」の意味合いかと、
彼女が愛らしいというニュアンスかと思ったのですが、なるほどね。

勤務先がパチ屋で、店名がそれだったと(笑)。

と言う訳で、彼女の『日常』の場面です。

『777』が揃った液晶画面に「お逝きなさい」の文字がニクイですね。
こういう小ネタ、大好きです(笑)。

けたたましい騒音、苛立つ客の中で、彼女は立っています。

接客業でこの表情というのが気になりましたが、なるほど。
これについても後で触れられるポイントですね。

でも、こんな表情にもなっちゃうよなあと他方では思いますね。
店も店なら客も客だよなあ。

何気にこの場面の名札で彼女の名前がわかります。

前髪ぱっつんが可愛い彼女の名前は『斉藤 楓』ちゃん。

中華料理屋さんとパチ屋、そしてパチ屋からまたお店に繋がる構成とテンポ、
これが非常に良いですね。読んでいて、気持ち良く感じたところでした。

同じ一対一のヒトとヒトの会話という構成で、彼女の心情はまるで逆です。
そのどれもが現実で、多くの読者が共感を覚えるところかと。これも実に秀逸です。

そして、ページを捲ると……。

お店のお母さんとの約束。



彼女が口にするこの場面は正に圧巻ですね。

ここからクライマックスまでの展開も含めて、これは実際に読んで感じて頂くのがベストかと。

二人の会話も一歩踏み込んだところへ。

お母さんのこと、お店のこと、そして厨房から決して出てこないご主人のこと。

それらがわかってきた中で、アクシデントが……。

今年いっぱいで閉めるつもりのお店が予期せぬ形で……。



ここで楓ちゃんが「気付けたこと」が大きかったですね。
彼女は笑顔になりました。

この変化は、とても嬉しかったところです。胸に沁みました。

そうだよね。自分も意識させられることが多いことなので、正に共感を覚えました。



ラストシーンも非常に良かったです。

季節も変わり、彼女の通話も楽しい内容で、明るい未来が窺えますね。

そして、彼女の笑顔。



手元だけ描かれていたご主人。それがここで……。

このさりげなさと切なさ、彼女の笑顔が堪りません。

『涙のタンタン麺』というタイトルも改めて納得できたところでした。

敢えて描かない箇所が多いことで、却って浮き彫りにされる手法で、
想像が膨らんだりと、読者が自然に想いを重ねられる構成も素晴らしかったです。

一日、一日を大切に前向きに生きていこうと思えた傑作です。
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