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日刊ハレ Ver2.11

2016年、更新再開です。好きな漫画、特撮、音楽の感想など、無名人の趣味と駄文の遊び場です。

本書の著者である坂爪真吾氏、そしてホワイトハンズさんに対して、
リンクもさせて頂き、以前にも紹介記事も書かせて頂いております。
私からの一方的で強引なお願いを快諾してくださった坂爪真吾氏に、
改めて感謝すると共に本書の感想をここに書こうと思っております。

まず初めに、私が坂爪氏を知ったきっかけとは何か。
そして、私が心を突き動かされたきっかけとは何か。

私のブログを読んでくださった方であれば、ご存知の方もおられると思います。
そのきっかけとは、私が愛読している漫画とその作者である先生にあるのです。

NON先生の『デリバリーシンデレラ』(集英社・ヤングジャンプコミックス)がきっかけです。

毎週の感想記事に留まらず、毎日のようにデリシン(漫画の愛称)を愛読しては先生に感想をお伝えして、
右も左もわからずに始めたツイッターに(そもそも上記の理由の為に始めたので)やっと慣れた頃でした。



どういう漫画なのかご存知でない方は、うちの感想文を是非ご一読ください。
坂爪氏の本著と決して無関係ではなく、現代に一石を投じた点も共通します。
その感想文の中でも、今までに何度も触れてきたことではありますけれども、
性風俗の世界で生きる女の子、傷ついた女の子と私は実際に接してきました。
夜の世界に生きる女の子、そこに渦巻くドス黒い欲望を思い知った時代です。

そして、今まで敢えて書かずにいたことですが、心の病に苦んでいる女の子、
性的虐待や自傷行為、家庭の問題に苦しむ女の子とも実際に接してきました。

接してきたというより、私の10代から20代はそこに費やされて終わったと言えます。
相手の親の元に乗り込んでは喧嘩、時には家から連れ出して車で避難もする毎日でした。
当時は私も若く、またこの国のメンタルヘルスの知識や情報も今よりもずっと乏しくて、
今よりも書籍がなかった書店や独学で学んでは、地元の病院や児童相談所に足を運んで、
途中で遠距離での交際になってからは、夜勤明けでそのまま高速バスに乗り込んで上京。
帰ってからは医者に手紙を書いて送り、相手には仕送りの荷造りをしていた時代でした。
正直、どうやって24時間を過ごしていたのか思い出せないほど滅茶苦茶な生活でした。

私が愛した人も、結婚するつもりだった相手も心の病に苦しむ人であり、風俗嬢でした。



私は『デリバリーシンデレラ』に出逢えて、わかってくださる方がいるのだと確信しました。
『デリバリーシンデレラ』は絵空事ではなく、私が知る光と闇の世界そのものだったのです。

「臭いモノには蓋をしろ」が平然と横行する今の世の中で、
『赤裸々に痛烈なまでに抉り出した』デリシンとの出逢い。

NON先生は本物だ。先生なら性風俗や性の問題で苦しむ弱者の気持ちを代弁してくれるはずだ。
私はNON先生をそう信じて愛読してきました。私のその想いはやはり間違っていませんでした。

矛盾と不条理が蔓延る中で、描かれて、貫かれた連載。
先生なら、デリシンなら、世の中を変えられると確信。

その想いから私は『デリシン革命』と名付け、感想記事にも意図的に繰り返し盛り込みました。



その頃です。坂爪氏とホワイトハンズさんに出逢ったのは。
坂爪氏もデリシンの読者さんで、そこで知り合ったのです。
知り合ったというよりは、私の一方的な応援ですけれどね。

いえ、厳密に言えば「それ以前より存在は知っていた」と思い返すことになる瞬間でしたけれど。
本当に恥ずかしく申し訳ないことですが、「きちんと理解していなかった」とここで痛感します。

坂爪氏には本当に心よりお詫び申し上げるほかないのですが、それ以前とは『成人合宿』の騒動。

私自身は何ら偏見も差別意識も抱いていませんし、活動内容も誤解なく理解していたつもりです。

しかし坂爪氏の真意、そして「その先」の展望を理解できていなかったことを痛感させられたのです。
坂爪氏の誠意と情熱、そしてホワイトハンズさんにしか成し得ない本当に光輝く「未来」の性社会を。



過疎ブログで孤軍奮闘しながら(笑)、何としても『デリシン革命』を起こすのだと燃えながら、
真の意味で実りあるリアルな『デリシン革命』を起こそうとする方がいらっしゃるじゃないかと。

それが坂爪真吾氏、その人だったのです。

そして、驚くほど緻密で多岐に渡るホワイトハンズさんの活動を知り、
坂爪氏の本書を読了して、私はとんでもない間違いに気付いたのです。

私の『とんでもない間違い』とは、
私が現代社会で、性風俗業界で「理解されるべき」だと今までデリシンの感想を通して書いてきたこと、
実はその考えが、私が思う『前提そのもの』が坂爪氏の本書によって文字通りひっくり返されたのです。

でも誰かが
変えなくちゃ

私がこの世界に
光を灯す

日の光を…!
(『デリバリーシンデレラ』EPISODE.91 夜蝶)

そう、この世界に光を灯すこと、つまり現代社会の性に「光を灯す」のが『デリバリーシンデレラ』なら、
この現代社会の性に、「苦しむ人の性そのものを光にしてみせる」のが『ホワイトハンズ』さんなのです。

目から鱗とはこのことです。

本書を手にして、一夜にして世界が反転したような凄まじい衝撃を受けました。

その時、坂爪氏から頂戴したお言葉が、再び鮮烈に私に叩き付けられたのです。

「私なりの『デリシン革命』っぽい内容を意識しましたので、是非」

本書に対するこのお言葉の真意は、そこにあったのかと!



今まで「とても他人事とは思えない」漫画の感想を書いていましたが、
本当の意味で「他人ではなく自分の問題」であると教えられたのです。

感想は、次項にていよいよ本題に入ります。

『シャウト!金髪先生 ドリアン助川のロックで講義』  

『シャウト!金髪先生 ドリアン助川のロックで講義』

2011/12/21 22:30


当たり前だが、テレビ朝日から刊行された単行本。
テレビ朝日で放送されていた同番組から、書籍化。

改めて手に取り感じたことはねえ、
流石はドリアン助川さんだなあと。
とにかく特筆すべきは読みやすさ。
うちのブログに欠けている要素だ。
それでいて奥が深い内容だもんな。
読み応えも充分だし言うことなし。
これぞドリアン助川さんの本よね。

本書はテレビ番組の方とも同じように(当たり前だが)、
洋楽を題材に英語の勉強ができる本である(一挙両得)。
それだけに留まらない辺り、流石はドリアン助川さんである!
その歌詞が書かれた状況や、時代背景や国の問題までも言及。
更にそのアーティスト自身にまで追及しており、
そのアーティストや歴史まで学べるお得な内容。
この辺りの造詣の深さと解説の上手さは、
実際に予備校の先生まで経験されていて、
ライターとしても世界を駆け巡るご経験、
併せ持つドリアン助川さんならではだね。

巻末に列挙されている生徒も感慨深い。

実は叫ぶ詩人の会の元メンバーである、
パンチUFO氏を筆頭に異種混合状態。

当然我らが叫ぶ詩人の会のメンバーも。
HirokiさんとTakujiさんも当然ご参加。

浜田春菜嬢は記憶していた通り。
ゆえに先日書いたHΛLの記事、
アイドル者&特撮者……なる件、
実はこれともリンクしている訳。
同じ人種は一発で気付いたはず。

ラーメンズの小林氏は、読み返して思い出したり。
しかしまあ、味わい深い番組だとしみじみ感じる。
深夜番組としては、異例の視聴率でしたもんねえ。

奥田英朗『イン・ザ・プール』  

奥田英朗『イン・ザ・プール』

2011/12/01 01:32


続けて読書ネタでひとつ。
ようやく形にできるかと。

奥田氏についてはあまりにも有名すぎて、
最早言わずもがなだろうとは思われるが、
やはり本作に触れないわけにはいかない。

伊良部シリーズと言える作品群で、
本作こそがその第一弾になる作品。
奥田氏ならではのユーモア大爆発。
正しくそんな良質な短編集なのだ。

『伊良部総合病院』の地下にある神経科。
そこに訪れる『患者と精神科医』の物語。
なんて説明『だけでは不十分すぎる』話。

患者もそれぞれ一癖あったりするのだが、
精神科医の伊良部こそ百癖あったりする。
それくらいトンデモ精神科医だったのだ。
この伊良部一郎って奴がとんでもないの。

「桂三枝師匠かよ」とツッコミを入れたくなるくらいに場違いな、
「いらっしゃーい」という精神科医らしからぬ伊良部の甲高い声。
「とりあえず注射を打っとこうか」が二言目にはお決まりである。
『注射フェチ』を遺憾なく発揮する変態ぶりには脱帽必至である。
注射を打つ看護婦のマユミさんも『露出狂』のナイスキャラだし。

読んでいると、伊良部と患者のどっちが患者なのかと。
そう疑ってしまうくらい、伊良部はクレイジーな診察。
深刻な患者とはまるっきり正反対で、
徹頭徹尾あっけらかんとした珍回答。
何を言っても軽くあしらわれる始末。
おちょくられているのではないかと、
患者だってそう思うくらい酷い回答。

あんた、ホントに医者か?
あんた、ホントに人間か?

しかし、皮肉にもそれこそが解決に導くって痛快さ。
そんなもん、くよくよしても仕方ないじゃないかと、
なるようにしかならないでしょう、そんな伊良部節。

実にストレート且つシンプルで美しいのだ!
正に馬鹿と天才は紙一重を地で行く展開で、
最後の最後には最高のカタルシスがある話。
喪黒福造の逆パターンと思えば良いかなと。
随所に散りばめられている奥田氏のセンス!
氏ならではのユーモアがもう堪らなく良い!
文体とも相まり驚くほどスラスラ読めるし、
たった一つのセンテンスで一発逆転だったりとか、
たった一つのセンテンスでリンパ腺直撃だったり。
もう奥田的ユーモアが堪らなく快感だったりする。
私は伊良部の世話にはなりたくなかったりするが。

貫井徳郎『迷宮遡行』  

貫井徳郎『迷宮遡行』

2011/11/29 03:26


やっぱり、もうそろそろ読書ネタも。
と言う訳でね、男は黙って貫井徳郎。

本作は大絶賛されたデビュー作『慟哭』に続いて、
第二長編『烙印』が原型になっている作品である。

しかしながら、この作品を単なる焼き増しと思うことなかれ。
最早リライトと変わらない、そんな態度での執筆なのだから。
もう加筆や修正どころの話ではない。
全面改訂と貫井氏のリベンジである。

十年間も勤めた不動産会社をクビになった、主人公迫水の許から、
ある日突然に、彼の妻が家出してしまったというのが事の始まり。
何も言わずに突然に。
置き手紙だけ残して。

本作は、そんな迫水が妻の絢子を探し求める本格ミステリである。
平凡な一般人であるはずの迫水に、次々と暴力団が絡み謎を呼ぶ。
貫井氏ならではの文体、今までのそれだけに留まらないユーモア、
語り手である迫水の性格や語り口など、大幅に変更されてもいて、
正に貫井氏のリベンジと言える傑作である。
本作も貫井作品に顕著な自己回復の物語だ。

私なんぞが下手な解説するよりも、
新潮文庫版の法月綸太郎氏の解説。
もうそれに尽きるのが本音であり、
法月氏の解説だけで買う価値あり。
なんて何気に前回の記事と絡めて、
ここで法月氏とリンクなんですな。

私もかつては女性と何だかんだ経験したし、
目が覚めたら視界が真紅なんて日常茶飯事。
それなりには修羅場も経験したつもりでも、
本作のアレや結末には足元にも及ばんわな。
貫井作品ならではの読後感がまた堪らない。

法月綸太郎『生首に聞いてみろ』  

法月綸太郎『生首に聞いてみろ』

2011/11/07 13:45


ブログに読書の記事がないなと思い、
こちらについても始めてみようかと。
読書の秋で良い機会だろうしと奮起。
これも音楽と同様にネタは大量だし。

ただ、最早散々やり尽くされているとは思う。
私が好む分野は尚更で、先人が既に跳梁跋扈。
ゆえに、中身に期待はしないでくださいなと。
音楽ネタと変わらず、マイペースで行きます。

残る懸念は、三日坊主にならないようにってだけか(苦笑)。

閑話休題。

法月氏と言えば講談社、
その印象が強い私だが、
本書は角川からの刊行。
平成十六年に単行本化。
平成十九年には文庫化。
第5回本格ミステリ大賞受賞。
毎年宝島社でお馴染みのアレ、
『このミステリーがすごい!』で1位に輝いた。
筆者はそんな『賞や順位』は全く気にしないが、
良いニュースではあるし、
紹介も兼ねてってことで。

探偵役の主人公、お馴染み我らが法月綸太郎。
高校時代の後輩、カメラマンの田代周平から、
写真展の案内が届いて、彼の個展で出会いが。

乙女の名は川島江知佳。
彼女と話している時に、
共通の知り合いが来る。
翻訳家である川島敦志。
江知佳の叔父でもあり、
綸太郎とも旧知の関係。

江知佳の父親、川島伊作が病死する直前に石膏像を完成。
愛娘の江知佳をモデルにしたその像の首が、切断されて、
何者かに持ち去られてしまう。
彼女の身を案じた川島敦志は、
法月綸太郎に捜査を依頼する。

そんな事の始まりなのだが、
実によくできていると脱帽。
伏線からミスリードまでが、
巧みに見事に魅せてくれる。
一度ならず何度でも読める、
違う味わいを楽しめる作品。

ネタばれにならない程度に言うと、
お互いの思い違いやすれ違いなど、
つまり『誤解』が重要な要素だと感じる。
魅せ方一つでこんなに『化ける』のかと。
なんて思いきや、既に文庫版のインタビューで、
貴志祐介氏が仰っていて、後出し感満載ですが。

後出し感ついでに言うと、
また本作は『徐々に解かれていく経路』の興白さがあり、
正に綸太郎と共にその『経路』を一緒に楽しめる構成だ。
捜査の先々でポカをする我らが法月綸太郎。
これがまた何だかなあと読者に味わい深い。
なんて言う時点で術中に嵌められている訳。

最初はもっとおどろおどろしい、
そんなイメージだったけれども、
儚さや哀しみが大きかった作品。
また結末を知った上で再読して、
改めてそれらを感じてしまった。
石膏像というオブジェや装置が、
ここでもマッチしていて感嘆だ。

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